食事術

高齢者の栄養失調とは?肥満と寿命の関係、低栄養の症状と予防

「先生、肥満だと長生きできないですよね?」

先日、患者さんからこんな質問を受けました。

肥満はどうしても不健康な印象が強く、太っていると早死にしてしまうというイメージがあります。

みなさんも、肥満に問題意識を抱えることはあっても、痩せてることを気にする人はいないのではないでしょうか。

でも実は今、高齢者の肥満よりも栄養失調(低栄養)が大きな問題になっています。

実は肥満の方が寿命が長い

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まず、肥満だと早死にすると思っている方が多いですが、それは間違いです。

国立がん研究センターの研究チームが、日本人の35万人のBMIと死亡時期を解析しました。

BMIとは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出される肥満指数のことです。

その解析の結果、

  • 一番長生きするのはBMIの値が平均的な人
  • 次に長生きするのはBMIの値が高い人
  • 一番寿命が短いのはBMIの値が低い人

ということが明らかになりました。

なんと、肥満の人よりも痩せている人の方が寿命が短い傾向にあるのです。

実際、わたしも患者さんの診察・治療を行っていて、痩せている人ほど状態が悪いことが多いと感じています。

そして今、高齢者の栄養失調(低栄養)が社会問題になっているんです。

高齢者の栄養失調とは?

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実際、とある高齢の患者さんで栄養失調気味の人がいました。

この方にどんな食生活を送っているのか聞くと、

  • 朝:パンと牛乳
  • 昼:ごはんと鮭の焼き魚
  • 夜:野菜炒めと味噌汁とごはん

という内容でした。

1日3食とっていますが、タンパク質の量が明らかに足りていません。

気になるのは、肉が全くないことです。肉を食べるのは1週間に2回ほどだと言います。

この患者さんのように、高齢者の栄養失調では、肉を極度に控えてタンパク質が不足している場合が多いです。

また、3食キチンと食べていればまだいい方で、お茶漬けなどの簡単な食事ですませてる人もいます。

なぜ高齢者に栄養不足が起きているのか?

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なぜ、食に不自由のない今の日本で高齢者の栄養失調が増えているのでしょうか?

理由は二つあります。

年齢の影響

一つは、年齢に伴う食欲や消化能力の低下です。

年齢を重ねると、毎日3食きちんと食べようという気がなくなります。

お腹が空きにくくなるので、それでも栄養が間に合っているんじゃないかなと感じてしまうんです。

肉は食べないほうがいいという先入観

肉は食べないほうがいいという考え方も、高齢者の栄養失調の大きな原因となっています。

高齢者の場合、若い人に比べると野菜や大豆は食べていることが多いです。

わたしの患者さんに「なぜ肉を食べないんですか?」と聞いた時は、「コレステロールが上がるから」という答えが返ってきました。

たしかにこの方は、コレステロール値が高めの方でした。

血圧やコレステロール値などの指標が高い方、何かしらの病気を患っている方は、健康に不安を抱えているため、身体に悪いイメージのある肉を敬遠する場合が多いです。

肉は食べないほうがいいんじゃなかったの?

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なぜ肉を極度に控える高齢者が多いかと言うと、肉を控えるべきか食べるべきか、正しく理解・判断するのが難しいからです。

昭和50年代、国は死因の多くを占めた脳卒中、心臓病、癌といった成人病の対策として、初めて栄養指導の指針を打ち出しました。

成人病の主な原因は、急激な食の欧米化による肥満だとして、肉の食べ過ぎや脂のとり過ぎを制限するようにという発信を開始したのです。

その後も、いわゆるメタボ対策として、中高年には肉や脂の制限を呼びかけました。

その結果、肉は健康に悪いというイメージが浸透したのです。

年齢と状況によってはむしろ肉を食べるべき

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なぜ高齢者肉を食べる必要があるのか?

しかし、その後の研究によって、高齢者はむしろ肉が不足しないように注意すべきであることがわかりました。

肉や魚のタンパク質は、筋肉、血管、免疫細胞、脳細胞などの機能に不可欠な成分です。

ただでさえ年齢とともに身体の機能は低下するのに、タンパク質が不足すると、寝たきりや認知症などの介護が必要な状態になりやすくなるのです。

どうやって肉を意識的に食べるべきか判断するのか?

現在の国の栄養指導は、

「74歳まではメタボ対策のために肉を控えるように」

「65歳からは介護の予防のために肉を食べるように」

という内容になっています。

そのため、65歳までは肉を控え、65歳~74歳は自分の体調や医師と相談しながら決め、74歳以上は肉を食べるようにするのが良いでしょう。

ただ、上記はあくまで一般論であって、個人にこれが当てはまるかどうかはわかりません。

血圧・血糖値・コレステロール値の数値、病気の有無、体重の変化によって判断することになります。

医師や自分の身体と相談するしかありませんが、1年に4kg~5kgも体重が減っていると、栄養不足を疑ったほうがいいでしょう。

高齢者はどのような食事を意識すべき?

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なるべくコンビニの弁当、スーパーのお惣菜、パンはなるべく控え、タンパク質と野菜を意識的にとるようにしましょう。

それぞれの病気に効く食べ物や、コンビニ弁当の上手な使い方は、下記のページでまとめています。

よかったらご覧ください。

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