加工食品

肉を食べると癌にかかりやすくなるって本当?

「先生、肉を食べると癌になりやすくなるって本当ですか?」

おいしくてスタミナ満点の肉は、食べ物の中でも特に人気の食材のひとつです。

しかし、「肉を食べると癌になりやすくなる」と言われることがあります。

普段から肉をよく食べている人や、肉好きの家族がいる人は、これを聞くと不安になってしまうかもしれません。

一方で、肉を食べることで得られるメリットもたくさんあります。

おいしいお肉をこれからも健康的に食べるために、肉と癌の関係について正しい知識をお伝えします。

赤肉・加工肉で癌のリスク上昇

肉,癌

肉は消化器系の癌のリスクを高める

国際がん研究機関の報告で、赤肉を食べすぎると大腸がんのリスクが上がることが明らかになりました。

ここで言う赤肉は「脂身の少ない赤身肉」ではなく「牛・豚・羊などに由来する獣肉」を指します。

また、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉も大腸がんのリスクを上げることが報告されています。

食生活の欧米化が癌患者を増加させた

戦後の日本では、食の欧米化にともなって赤肉の消費量が増加しました。

それにより、1980年代以降は国内における癌の発生数も増加傾向にあります。

また、食事との関係が特に深い、大腸がんや生殖器系のがんの若年化も進んでいます。

高齢者の増加とともに、食生活の変化も癌が増加した大きな要因と考えられています。

赤肉・加工肉と癌の関係

肉,癌
では、赤肉・加工肉の食べすぎで癌のリスクが上がるのはなぜでしょうか?

胆汁の増えすぎによる影響

肉に多く含まれる動物性の脂肪を腸で消化するときに、肝臓から胆汁という消化液が分泌されます。

肉類の中でも脂肪が多い赤肉や加工肉を頻繁に食べると、胆汁がより多く分泌されます。

この胆汁には、ごく微量の発ガン性物質が含まれています。

そのため、肉を頻繁にたくさん食べると胆汁が大腸内に長時間とどまり、大腸ガンのリスクが上がるのです。

肥満や脂肪肝で肝臓ガンのリスク上昇

高脂肪食品や糖質の摂りすぎは、肥満や脂肪肝につながります。

脂肪肝になると、肝臓ガンのリスクが高まることが明らかになっています。

また、肥満になると胆汁が増えやすくなります。

胆汁が血管を通って肝臓に運ばれると、胆汁の発ガン性物質によって肝臓ガンのリスクが高まります。

加工肉の塩分・添加物による影響

加工肉には塩分や添加物が多く含まれています。

加工肉を食べすぎると、以下のようなリスクが高まります。

塩分による影響

塩分を摂りすぎると、胃がんのリスクが上がることがわかっています。

理由は、胃の粘膜が塩分によって荒れてしまい、傷つくからです。

胃粘膜に増えた傷口から発がん性物質が取り込まれ、がん化しやすくなるのです。

また、荒れた胃粘膜は、胃がんの大きな原因の一つであるピロリ菌が生息しやすい環境となります。

添加物による影響

加工肉には、見た目や味を良くしたり保存性を高めたりするために、添加物が含まれています。

添加物の中には、発がん性が疑われるものや身体への影響が不明なものがあります。

代表例は、亜硝酸Na(加工肉・明太子などの発色剤)や、タール色素(赤色○号・青色○号などの食用色素12種類)などです。

肉を食べないことによる弊害

肉,健康

赤肉や加工肉を食べすぎると、たしかに癌のリスクは高くなります。

しかし、がんを心配して赤肉を完全に断ってしまうことも健康に良くありません。

赤肉を食べないことによるデメリットは、以下の通りです。

寝たきり・認知症のリスクが上がる

タンパク質の一種であるアルブミンは、肉を食べると効率よく摂取することができます。

アルブミン不足状態が長く続くと、高齢になってから寝たきりや認知症になるリスクが高まります。

血管が弱くなる

赤肉に含まれる飽和脂肪酸はコレステロールを作り、血管の材料となります。

血中のコレステロールが増えすぎると、動脈硬化などのリスクが上がるのですが、逆にコレステロールが少なすぎると血管が破れやすくなり、脳出血のリスクが上がります。

鉄欠乏製貧血になりやすくなる

赤肉には体に吸収されやすいヘム鉄が豊富に含まれています。

ヘム鉄が不足すると、貧血になりやすくなります。

ほうれん草や小松菜などの植物性食品にも鉄分(非ヘム鉄)が含まれていますが、ヘム鉄よりも吸収率は低めです。

セロトニン不足による害

牛肉・豚肉や乳製品には、トリプトファンが豊富に含まれています。

トリプトファンは、脳内でセロトニンを作るための材料となります。

セロトニンが不足すると脳の機能が低下し、以下のような症状が出やすくなります。

  • 睡眠障害(寝付けない・朝起きれない)
  • 気分の落ち込み・イライラ・無気力
  • 疲れやすい

心身の調子を整えるためにも、肉を食べるのは大切なのです。

癌のリスクを上げずに肉を食べる

肉,種類

赤肉は癌のリスクを高めますが、健康にも欠かせないことがよくお分かり頂けたと思います。

赤肉を日々の食生活に取り入れつつ、癌の発生を抑えるためには、どんなポイントに注意すればよいでしょうか?

いろいろな肉をバランスよく食べる

日々の食生活に、赤肉ばかりでなく白肉(鶏肉・七面鳥肉・魚肉など)や卵・大豆製品なども積極的に取り入れましょう。

白肉は高たんぱく・低カロリーなので、肥満のリスク軽減にも役立ちます。

たんぱく質摂取量の目安

1日に摂取すべきたんぱく質の量は成人男性で約60g、成人女性で約50gとなります。

朝・昼・夕食からまんべんなく摂るとすれば、1食あたり約17~20gのたんぱく質が必要になります。

赤肉から約20gのたんぱく質を摂るなら、豚のしょうが焼き1皿(約180g)くらいを目安にするとよいでしょう。

野菜をたっぷり摂る

野菜

肉と一緒に、肉と同量もしくはやや多めに野菜・きのこ・果物などを摂りましょう。

これらの食材の多くは、がん予防に有効な抗酸化成分・カリウム・食物繊維などを含んでいます。

抗酸化成分

多くの野菜・果物は、カロテノイドやポリフェノールなどの抗酸化成分を含んでいます。

食生活の偏りやストレスなどによって体内の活性酸素が増えすぎると、細胞が傷つけられてがん化しやすくなります。

抗酸化成分を十分に摂取することで、活性酸素の毒性を抑えることができます。

カリウム

野菜・きのこ・果物の多くは、カリウムを含んでいます。

カリウムには余分な塩分を排出させる作用があり、この作用によって胃粘膜へのダメージも抑えられます。

余分な塩分の排出は、高血圧・むくみなどの予防にも役立ちます。

食物繊維

食物繊維は腸内での脂質の吸収を遅らせ、肥満のリスクを下げるのに役立ちます。

また、食物繊維は腸内の有害物質の排出を助け、大腸がんの予防にも効果を発揮します。

塩分・脂肪・油はひかえめに

野菜
<>塩分・脂肪・油の摂りすぎにならないよう、肉の選び方や調理法を工夫することも大切です。

なるべく脂身の少ない部位を選ぶ

例えば豚肉なら、ヒレ<もも(脂身なし)<ロース(脂身つき)<ばら(脂身つき)の順に脂身が少なくなります。

また、脂身部分を取り除いてから調理するのもいいですね。

油の少ない調理法がおすすめ

揚げ物などのように油の多い調理法より、ボイル・蒸し物・ホイル焼きなど油の少ない調理法がおすすめです。

オーブン・焼き網・テフロン加工のフライパンを活用して、油を減らすのも有効です。

味付けを工夫して塩分を抑える

食塩や醤油・味噌など、塩分を含む調味料は使いすぎないようにしましょう。

ハムやソーセージなどの加工肉は、お湯でボイルするといくらか塩抜きできます。

とは言え、薄味にしすぎると美味しくなくなり食事を楽しめなくなってしまいます。

天然だし・柑橘類・ハーブ・スパイスなどを活用し、ストレスなく減塩できるよう工夫しましょう。

まとめ

野菜

赤肉や加工肉を食べすぎると、大腸がんや胃がんなどのリスクが高くなります。

しかし、だからといって肉を一切食べない生活もまた健康に良くありません。

健康を維持するためには、肉・魚・野菜などさまざまな食材をバランスよく食べることが重要です。

癌と食事の正しい知識を身につけ、健康的に食生活を楽しんでいきましょう。

関連記事